北北西に進路を取れ

「北北西に進路を取れ」 1959
監督はアルフレッド・ヒッチコック、主演はケーリー・グラントである。サスペンススリラーの傑作と名高く、タイトルは当然知っていたが見たことはなかった。と思う。1980年にテレビ放映されているらしいのだが見た記憶はないし、ストーリーにも憶えがないので、恐らく見ていない。ただ、後半の大統領の顔が掘られたラシュモア山のシーンは多分映画の紹介か何かで見たことはあった。
広告会社の社長のソーンヒルはある日キャプランという男と間違えられて拉致される。命からがら逃げのびたソーンヒルはキャプランという男の行方を追うのだが・・・
ストーリーは荒唐無稽でリアリティはないが、サスペンスの見せ方がうまいので引き込まれる。それとソーンヒルを色男の社長に設定したことで、あちこち駆け回る行動力や金払いのよさ、または知り合った女と懇ろになるというような展開に妙な説得力を与えていて、観客に疑念を抱かせないようにしている。
演じているケーリー・グラントがほんとにいい男でかつ品があるので、それだけでも説得力があるのだよね。
主人公が知らないうちにトラブルに巻き込まれてしまうという巻き込まれ型展開の典型的な映画だが、巻き込まれる方にもそれなりの設定をしていないと説得力に欠けてしまうし、そもそも映画の場合キャスティングも考慮しないといけないわけで、そのあたりのうまさがやはりヒッチコック監督といったところか。
冒頭のタイトルバックがやたらとおしゃれで、1959年の作品とは思えない。このタイトルデザインはソール・バスというグラフィックデザイナーが手掛けたらしく、他にも多くの映画でタイトルデザインをしているらしい。
原題は「North by NorthWest」だが、そもそもこういう方位の言い方は存在しないらしく、監督曰くそのことがこの映画が現実ではありえないことを描いていることの象徴なんだとか。
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