フォーリング・ダウン

「フォーリング・ダウン」 1993
監督ジョエル・シュマッカー、主演マイケル・ダグラス、ロバート・デュヴァルのサスペンス。監督のシュマッカーは、有名どころだと「セント・エルモス・ファイアー」や「バットマン フォーエヴァー」などを撮っているが、残念ながら未見。
渋滞に苛立ち、エアコンの不調に苛立ち、両替を拒む店主に苛立ち、絡んでくるチンピラに苛立ち、男はゆっくりと狂いはじめる。ただ娘に誕生日プレゼントを渡したいだけなのに・・・
パッケージを見ただけだと、テロリストかなんかが暴れるもっとアクションよりの映画かと思っていたが、全然違った。何をするかわからない得体の知れない存在となった男が、ただひたすら娘の元に向かおうとするだけの話なのである。しかし、それが結構怖い。別れた元妻は電話で来ないでくれと懇願するが、男は聞く耳を持たない。果たして男は娘の元に辿り着いてしまうののか、それとも警察によって阻止されるのか。
警察側に今日付けで退職する予定の刑事を配しているのもよい。複数の騒ぎをいち早く結び付けて一人の男を炙り出すが、周囲は余計なことするな状態でまともに取り合わないのが、もどかしさを生んで、サスペンスの盛り上げに一役買っている。
マイケル・ダグラスが演じる狂気を内に孕んだ平凡そうなサラリーマンがとてもいい感じ。刑事役のロバート・デュヴァルは最近見たような気がすると思ったら、「ゴッドファーザー」にで出た人だった。
サスペンス物ではあるものの、ブラックコメディとして見られなくもないかもしれない。微妙にコーエン兄弟の「ファーゴ」を思い起こさせる。まぁ監督がどういう方向性を意識していたのかはわからないのだけどね。
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