待ち伏せ
「待ち伏せ」 1970
監督稲垣浩。主演三船敏郎。他に勝新太郎、石原裕次郎、中村錦之助、浅丘ルリ子という、オールスターキャストで送る娯楽時代劇。
多額の礼金で仕事を受けた三船は何をするかもわからぬまま指示された峠に向かう。そこで待っていたものは・・
錚々たるキャストが集結しているが、壮大な大作というわけではない。最後にちょっとだけ派手な戦いがあるものの、ほとんどの時間は峠の茶屋に偶然か必然か集まった面々による丁々発止なやり取りという感じ。
シチュエーションは素晴らしく面白いのだが、豪華俳優を集めすぎたせいか逆にそれぞれの俳優の見せ場とかに囚われて、付随するエピソードが今一つなのである。
というか、そもそも俳優を全然生かしきれてない脚本なんだよね。特に石原裕次郎はメインストーリーにはほぼ絡んでなくて、取ってつけたような茶屋の娘との恋愛的エピソードを割り当てられていたりする。中村錦之助は珍しく権力を笠に着る小物の役人というどちらかというと3枚目の役で、それ自体は面白い配役だが中村錦之助にやらせることかと思わないでもない。しかも足を折っている設定なので、立ち回りの一つもないというのはどうなのか。三船敏郎はいつもの凄腕の浪人役なのだが、「用心棒」や「椿三十郎」のときのようなキレがない。唯一勝新太郎だけは、ちょっと特殊な役柄で、意外性もあって面白かったのが救い。浅丘ルリ子はヒロイン役なのだが、キャラがぶれていてよくわからん女になってしまっている。あと茶屋の娘がウザ過ぎてきつい。
まぁいろいろ難はあるものの、せめてクライマックスで男4人の派手な大立ち回りを見せてくれれば、終わり良ければ総て良しという感じだっただろうに、それすらないとなるともはや擁護しようがない。
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