ラビッド・ドックス
「ラビッド・ドックス」 1974
マリオ・バーヴァ監督のイタリア映画。クライムサスペンスである。主演はリカルド・クッチョーラ。この人はよく知らないが、わりと有名な「死刑台のメロディ」という映画にも出ていたらしい。ただそっちでは、リッカルド・クッチョッラという風に表記されていて、日本ではあまり知られている役者という風ではない。
警察に追われた凶悪な強盗犯たちは女を人質にとり車で逃走するが、途中で車を替えるために乗っ取った車には病気の子どもが乗っていた。
監督のマリオ・バーヴァはホラー映画を中心に撮った人で、その作品は後の映画にも多くの影響を与えたほどだったといい、イタリアンホラーの父とも称される。今作はホラーではなくサスペンス物ではあるが、人が死ぬシーンはそこそこある。
冒頭の強盗シーンを除けばほとんどが車の中で撮られていて、お話の中心は強盗犯と人質のやりとりになるので、密室劇ともいえる。強盗犯は警察から逃げおおせるのか、人質は強盗犯から逃げられるのか、病気の子どもはどうなるのかと、サスペンスのポイントが多数ありかつ強盗犯の3人のうち博士と呼ばれるリーダーは知的な雰囲気だが、残り2人は粗野でいかにも犯罪者といった体でリーダーも持て余し気味という感じで一枚板ではないところが、さらに先の展開を読みにくくしていて面白い。
原題は「Kidnapped」で人質側目線だが、アメリカでのタイトルである「Rabid Dogs」は狂犬病の犬みたいなニュアンスで、どちらかというと犯人側のことを言っていて逆になっているのが、イタリアとアメリカの考え方の違いみたいなものを表しているのかなぁと思ったが、単なる邪推という気がしなくもない。
伏線の張り方も巧みで、なかなかの良作。
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