ストレンジャー・ザン・パラダイス

「ストレンジャー・ザン・パラダイス」 1984
監督・脚本ジム・ジャームッシュ、 主演ジョン・ルーリー。ジャンルはどうにもよくわからない。コメディか青春物かロードムービーか。
公開当時話題になったので、タイトルだけは知っていたが、なんかおしゃれな映画みたいなイメージだけで、内容までは全然知らなかった。
ニューヨークに住むウィリーは故郷のブタペストからやってきた従妹のエヴァをいっとき預かることになる。1年後、彼と友人のエディはクリーブランドに行ったエヴァと再会し、フロリダを目指す。
ストーリーはほんとにこんな感じで、特にドラマティックな展開はない。淡々と3人の行動を追うだけだ。ただ3人のキャラ付けははっきりしており、ロベール・ブレッソン監督の作品のようにストーリーはドラマティックなのに、役者が無表情だというのと真逆な印象である。
音楽はミュージシャンでもある主演のジョン・ルーリーが担当しているが、主題曲として、スクリーミン・ジェイ・ホーキンズの「I Put a Spell on You」を使用しており、この曲がなんともかっこいい。
全編モノクロでほぼ固定カメラでのワンシーンワンカットで撮られていて、かつシーンの繋ぎに必ず入る暗転がなんとも言えない絶妙な間を作って味わいを出している。退屈するかしないかの微妙なラインではあるのだが、この味わい深さが結構よい。
モノクロであるせいか、ニューヨーク、クリーブランド、フロリダのどこへ行っても曇っている同じような雰囲気で描かれる。クリーブランドはわからないが、ニューヨークもフロリダもそれらしく描かれないのだよね。もっともそれが意図されたものなのか、単にこちらの土地勘のなさからくるものなかはわからない。
インディーズということで、登場人物も場所も少なくいかにも予算なさそうなのだが、チープな感じがしないのは監督の才能ゆえか。
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