リバー、流れないでよ
ブルーレイが出ているのを見かけて買おうかどうしようか迷っていたら、はからずもケーブルテレビでの放映があったので、そっちで録画してしまった。
「リバー、流れないでよ」 2023
ヨーロッパ企画による長編映画第二弾である。前作「ドロステのはてで僕ら」から引き続き監督は山口惇太、脚本上田誠、主演は藤谷理子となっている。
京都・貴船にある旅館の従業員のミコトは、いつもと同じように働いている最中、どうやら時間が繰り返しているのではないかという違和感を憶える。そしてそれは彼女だけではなかった。
時間物SFには定評のある上田誠の脚本は本作でも冴えていて、2分間をループし続けるという設定なのだが、意識は継続しているという、シュタインズ・ゲートで言うと全員が岡部倫太郎のようにリーディング・シュタイナーを使えるような感じになっている。なので、話をしている最中にループしてしまうとお互いに場所は初期位置に戻るが、話の内容は憶えているのである。この設定がほんと秀逸で、これがあるために大体90分くらいの本編中このループを30回以上繰り返すのだが、ループしているにもかかわらず、全く先の展開が読めないのだ。普通、ループ物は主人公のみがループを認識していて、それを脱するために奮闘するみたいな展開が多いのだが、全員が認識することで、ループしているにもかかわらず話自体は連続している奇妙な状況を生み出しているのが素晴らしく面白い。伏線の張り方から登場人物の設定まで、とにかく脚本がうますぎる。
「ドロステのはてで僕らは」のときは、全編1カットという離れ業をやっていたが、今作ではループする2分間についてのみ1カットで撮られている。ただそれを毎回1カットで撮っているわけで、解説によるとその毎回を2分きっかりに演技を終わらせる必要があって大変だったということだが、まぁ大変だよね。