狼たちの午後
「狼たちの午後」 1975
監督はシドニー・ルメット。主演はアル・パチーノである。ニューヨークでの銀行強盗事件を描く。原題は「Dog Day Afternoon」。昔何かで、犬がへたばるほど暑いから「Dog Day」と言うんだみたいなことを聞いたのだが、どこでだろう。
夏のくそ暑い日の午後、銀行強盗に入ったソニーとサルはその杜撰な計画からかすぐにばれて、周囲を警察に取り囲まれてしまう。二人は銀行員を人質にしてなんとか脱出しようと試みるが、事態は悪化の一途をたどってゆく。
監督と主演とこのあらすじからすると緊迫したクライムアクションあるいはクライムサスペンスというジャンルなのかとも思ってしまうが、ちょっと違う感じ。個人的にもかなり昔多分公開当時からタイトルだけは知っていたが、どシリアスでハードなアクション物だとばかり思っていた。
実際のところは、わりとコメディっぽい演出も含んでおり、緊迫した雰囲気はないし、ド派手なアクションもない。どちらかというと、銀行強盗、人質の銀行員たち、警察のやりとりに重点を置いた描写である。極論するとアル・パチーノの演技を見るための映画といっても過言ではない。とにかくうまい。無計画でカッとしやすいが、根っからの悪党ではなく人質たちにもきつくは当たれないというわりと複雑なキャラクターを魅力的に演じている。かといってアル・パチーノがヒーロー的に描かれているかというとそんなことはなく、最後までかっこ悪く情けない男として扱われる。
お話自体は公開の3年前に実際に起こった銀行強盗事件を元にしているらしい。どこまで事実に沿っているのかは不明だが、この脚本は1975年度のアカデミー賞を取った。なんでアル・パチーノは主演男優賞でないのだろうと思ったが、この年は「カッコーの巣の上で」のジャック・ニコルソンだったということで、そりゃまぁ仕方ないかという。わたしはまだ見てないですけどね。
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