ボルサリーノ
別々に書こうと思ったが、やはりこの2作は一緒でないとね、ということで今回は2本。
「ボルサリーノ」 1970
フランスの2大俳優ジャン・ポール・ベルモンドとアラン・ドロンの唯一の共演作。1930年代のマルセイユで出会った2人のチンピラが裏世界でのし上がっていく様を描くギャング映画だ。
ブルーレイは絶版になっているらしく中古で買った。しかもあまり安くなっていない。デジタル・リマスターと謳っているわりに画質はよくなくて、DVDと言われてもわからないくらい。山田康雄、野沢那智の黄金コンビでの吹き替えが収録されているのが唯一の救いだ。やはり山田ベルモンドと野沢ドロンは素晴らしい。それと名曲中の名曲の軽快なテーマ曲がたまらない。
確か最初のテレビ放映時に見ている。とはいえ内容はほぼ記憶にない。ただこのときはじめてベルモンドを見て、ファンになったのだった。
ギャング映画だがどちらかというと雰囲気は明るい。ベルモンドのキャラがいい感じに緊張をほぐしている感じ。ドロンだけだとどうしても画面が暗いんだよね。2人の共演というだけで絵にはなるが、ストーリーはいまひとつで、のし上がっていく過程が雑。ボスを殺ればそれでOKってわけじゃないでしょとツッコミたくなる。そのわりにどうでもよいことに尺を割いていて、バランスが悪く全体としても長い。それとやはりラストは蛇足っぽいなぁ。わたしがベルモンド贔屓だからかもしれんけどね。
一説によると、撮影途中で仲たがいしたためああいうことになったとか・・・
「ボルサリーノ2」 1974
前作の純粋なる続編。恐らく前作の数日後から始まるのだが、テーマ曲が象徴する前作の軽快な雰囲気から一転して、基本的にずっと暗い。マルセイユを狙うイタリア系マフィアとの血で血を洗う抗争を描いていて、銃撃戦も多い。ただラストだけは前作とうって変わってドロンの満面の笑みで終わるところが面白い。
興行的にはあまりパッとしなかったらしいが、個人的にはきらいじゃない。ベルモンドが出ていないのは仕方ないが、ドロンの冷徹な雰囲気にマッチしたストーリーではある。
あと、わたしが好きなのは、ドロンの子分のフェルナンドの存在。髪の薄いちょっと顔の長い男なのだけど、前作の冒頭からずっとドロンのそばにいる。前作ではセリフもほとんどなくて影が薄いが、今作では精神病院に幽閉されたドロンを救い出したりと、少しだけ活躍の場があるのだ。敵に捕まり錘を付けられて海に捨てられてもしぶとく脱出し、ドロンを救おうとするところがとても印象深い。もちろんベルモンドの代わりとなるような立ち位置では全然ないのだけど、そのいかにも子分然とした風貌がなかなかにいい味を出している。
こちらはブルーレイが普通に出ているが、廉価版でもないのに吹き替えは付いてない。ただテレビ放映時も吹き替えは野沢さんではなかったようなので、収録する価値もないと判断されたのかもしれない。