羊たちの沈黙
「羊たちの沈黙」 1991
原作はもう何度も読み返したくらい好きな作品。映画も素晴らしい出来だった。以前に一度見ているが、それがテレビ放映時だったか、ケーブルテレビでの配信だったかは記憶にない。いずれにせよかなり前であることは確かだ。ブルーレイがずっと品切れ状態だったが、最近見たら復活していたので、買ってみた。
主演はジョディ・フォスターとアンソニー・ホプキンス。監督はジョナサン・デミだが、この作品以外のものはよく知らない。
FBIの実習生であるクラリスはある猟奇連続殺人の捜査の手伝いで、精神病院にいる殺人鬼レクター博士の元を訪れる。数度の訪問のうちやがてレクターは彼女に犯人を示唆するが・・
原作はかなり密度の濃い物語である。それを2時間という上映時間にまとめた脚本が秀逸。さすがアカデミー脚本賞を取っただけのことはある。ストーリーの枝葉の刈込方の手際がよい。
まぁ脚本賞だけでなく、作品、監督、主演男優、主演女優の計5部門で受賞しているわけで、ほんと名作である。レクター博士を演じたアンソニー・ホプキンスがすごすぎる。穏やかで知的な雰囲気を漂わせつつも何のためらいもなく人を殺す。小説の描写でもかなりの存在感なのだが、それを完璧に演じ切っている。特に収容施設から逃亡するシーンは秀逸。このあたりの描写は映画の方が実際に映像で見せるというインパクトがあってよい。
ホプキンスは続編の「ハンニバル」でも同じ役で出ていた。ジョディ・フォスターはジュリアン・ムーアに代わってたけどね。続編はケーブルテレビで見ているが、ブルーレイを買うかどうかは微妙。これは原作がそうなってしまっているのだけど、なんかレクターの人気が出たせいか、レクター博士がまるで超人のような存在で描かれていて、なんかちょっと本作とは毛色の違うものになっちゃってるんだよね。つまらなくはなかったのだけど。