パーフェクトブルー
ほぼ一月ぶりのブルーレイネタ。日本アニメとオランダ映画という何の関係もなさそうな2本だが、本質的な部分での関連があるようなないような・・・
「パーフェクトブルー」 1997
今敏監督のデビュー作である。タイトルだけは知っていたが、内容については全く知らなかったのでスルーしていた。 たまたまネットでサイコホラー系のお話であるというのを見て、見てみようかなと。最初安い北米版を買おうとしたのだが、画面が揺れるというレビューがあったので、大事を取って高い日本版の方を買う。
アイドルグループの一人だった霧越未麻が脱退し女優への転身を図るが、意に沿わない仕事やストーカーじみたファンの存在で次第に精神を蝕まれていく。やがて彼女に関わる人間たちが殺されて・・・というストーリー。まぁ確かにジャンル的にはサイコホラーと言ってよいかもしれない。
いやぁ面白かった。さすが今監督である。後の「パプリカ」でも描かれていたが、夢と現実の境が曖昧になっていくあたりの描写がうまい。今作では未麻が出演している劇中劇のドラマの内容と現実と未麻の夢と妄想とが絡みあってかなり複雑な感じになっているが、ある意味アニメだからこその表現でなされており、それがクライマックスの恐ろしさにも繋がっていて素晴らしい演出だといえる。
「ザ・バニシング -消失-」 1988
フランスへの旅行中に恋人が忽然と消えてしまう。残された男は・・。というストーリーだけ見ると、サスペンス物っぽいが、実のところそういう映画ではない。恋人失踪の謎を追っているうちに意外な真相が・・。というたぐいのものでもない。非常に説明が難しい映画だ。
犯人は普通に登場する。いわゆるサイコパスだ。ある意味彼の方が主人公だと言っても過言ではないだろう。女を誘拐するための計画を立て、セリフの練習に余念のない姿はもはやコメディ映画かとも思わせる。
しかし、違う。この映画はホラーなのだ。見ているものを突き放したようなラストはなんの救いもなく、恐ろしいとしか形容しようがない。
なかなかインパクトのある映画で、まぁまぁ面白かったのだが、いかんせんタイトルがあまりよくない。原題は翻訳すると”跡形もなく”という風になるので、”消失”で間違いないのだろうが、オランダ語でのニュアンスはどんな感じなのだろう。のちにリメイクされていてリメイク版のタイトルは「失踪」らしいのだが、まだそっちの方がよいかなぁ。