まぼろしの市街戦
今回は、カルト映画2作。
「ウィッカーマン」 1973
スコットランドのとある島で少女が行方不明になっているという匿名の投書を受けて、調査にやってきた敬虔なクリスチャンである本土の巡査部長が、島に残る土着信仰を信じる村人たちに翻弄される。彼らは口を揃えて少女のことを知らないと言い張っていた。
まぁこういうストーリーであれば、普通サスペンスを盛り上げるような演出をしてくると思うが、それが今一つ中途半端な感じ。特にケルト風の音楽の使い方が微妙で、コメディ落ちに向かっているのか、ホラー落ちにしようとしているのか、悪い意味で先が読めない。島の領主役のクリストファー・リーの怪演が印象に残るが、カルト映画というか、単にマイナーなB級映画というところですかね。嫌いじゃないけど。
2006年にリメイクされたらしいですが、予告編を見る限り、サスペンス色が濃くなっているみたい。
「まぼろしの市街戦」 1966
こちらは、まさにカルト映画の傑作。ただ邦題は意味不明で、原題の「ハートの王」の方がしっくりくる。
第一次大戦の末期、フランスの町でドイツ軍が撤退中に仕掛けた爆弾を解除しにやってきたイギリス軍の伝書鳩係のプランピック二等兵が、町に取り残された精神病院の患者たちに翻弄されつつ任務を遂行しようとするコメディ。患者たちのやることは完全にいかれているが、それにもまして軍隊の方がいかれている。いったいどちらが正気でどちらが狂気なのか。プランピックも観客も次第にわからなくなっていく。戦争をとことんおちょくるまさに反戦風刺映画だが、変に説教臭くなっていないところが素晴らしい。本国では受けなかったが、数年後にアメリカで当時のヒッピーたちにバカ受けしたらしい。
コメディなので、バッドエンドはないよなぁとメタ的に思うものの、もしかするともしかするかも、という風に先が読めないので目が離せない。ヒロインのジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドという舌を噛みそうな女優さんが超かわいい。今はもう80才近いですけどね(^^;)
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