荒野の用心棒
誘惑に負けてついつい買ってしまう。
「荒野の用心棒」完全版である。
何がどう完全版なのかというと、イタリア語版が付いていることと日本語吹き替えが全編に付いていることのようだ。
特に日本語吹き替えは、定番である山田康雄がやったテレビ用のものにカットされた部分を追加録音して収録してある。
もちろん山田氏は故人なので、その部分のみ多田野曜平という人が代役を努めているのだが、いったいどの部分が代役なのか一度見ただけではわからなかった。
もっともイーストウッドのセリフ自体がさほど多くないということもあるのだが、それにしてもやはり声が似ているのだろう。
「荒野の用心棒」は多分見たことあるはずなのだが、記憶に残ってない。
「夕陽のガンマン」の方は確かに見たという記憶があるのだけどねぇ(^^;)
まぁその分新鮮な感じで見られたのでいいのだけどね。
しかし改めて見てみると、ほんとに黒沢の「用心棒」そのまんまなのね。
多少はウエスタン風なシチュエーションに直されてはいるものの、パクリもここまでくるとある意味すごい。
しかも面白いのだから、やはり監督のセルジオ・レオーネに才能があったということだろう。
山田イーストウッドはやはりしっくりくるのだけど、吹き替えの翻訳がなんかひどい。
聞いていて、意味がわからない部分が多々あるのである。
今回イタリア語版の字幕は詳しい人が新しく翻訳したようなので、イタリア語版字幕を表示しつつ見てみたら、吹き替えの翻訳がやはり変。
吹き替えの場合、口の動きに合わせる必要があるため、いろいろ難しい制約があるのかもしれないが、それにしてもおかしい。
最初の方で、イーストウッドが酒場に入ってルーレット盤を見るカットで、酒場の親父が「踊り子のものだ、殺されたよ。」という台詞を言うのだが、なんでルーレット盤と踊り子が関係あるのかさっぱりわからなかった。
しかし、イタリア語版の字幕では、踊り子の話なんぞ全くしてなくて、単に「ルーレット盤ももう廃物だ」と言ってるだけだった。
いったいなんで踊り子の話なんて持ち出したのだろう?
わざわざわかりくくしてどうすんだって感じ・・・
原語で見れればそれが一番いいのだけど、洋画はどうしても翻訳に頼らざるをえないからねぇ。
字幕の方がよいときもあるし、吹き替えの方がよいときもあるし、なかなかやっかいな話だわな。