八つ墓村
市川崑の「犬神家の一族」のヒットでブームとなった横溝正史の原作でその後何本か映画化されたうちの一つ。わたしは「犬神家の一族」「悪魔の手鞠唄」「獄門島」は映画館に見に行ったが、市川作品でないこの「八つ墓村」は見ていなかったのだ。
市川崑-石坂浩二のコンピが好きだったので、野村芳太郎-渥美清の組み合わせにはあまり食指が動かなかったのだな。
もっとも市川崑は、1996年に豊川悦司で「八つ墓村」を撮ってるがこっちはそもそもその存在すら記憶にない(^^;)
公開当時テレビCMで流れていた「祟りじゃー八つ墓の祟りじゃー」というセリフと桜の舞い散る中を猟銃と日本刀を持って駆けてくる山崎努のインパクトはすごかった。
横溝正史作品のよいところは、お膳立てがやたらとおどろおどろしいのにもかかわらずちゃんと全てが論理的に解きあかされる部分で、市川崑はちゃんとそういうところを描いていた。
しかし、残念ながらこの映画はおどろおどろしいものをそのままおどろおどろしく描くだけという間抜けな方向に行ってしまっている。
論理もくそもなく、ほんとに400年前の落ち武者の祟り話なのだ。
犯人のトリックもなく、それを解きあかす探偵の推理もない。金田一は何の証拠もなく唐突に犯人を指摘したあげく、殺された人間の系図を調べて、「昔落ち武者を殺した人間の関係者だったんですよ、恐ろしいことです」と言うだけ・・・。
しかも描写は冗長で展開は退屈。
結構ヒットしたらしいが、ちと信じられん。
唯一例の山崎努のカットだけはすごくよかったけどね。
こうなると、1996年の市川崑版も見てみたいが、ブルーレイは出ていないようだしDVDなのに高いのでまぁいずれ安くなったら買うかななぁ。
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