野獣死すべし
「野獣死すべし」 1980
監督はルチオ・フルチ。主演はファビオ・テスティ。ギャング映画である。
前に見た「地獄の門」も1980年に撮られており、当時この手のB級映画を量産していたことがうかがえる。翌年の1981年には「ビヨンド」を含む3本が公開されていて、すげーなとしか言いようがない。
煙草の密輸で稼ぐルカとその兄だが、ある日兄が殺されてしまう。復讐に燃えるルカは、ギャング同士の抗争に巻き込まれてゆく。
どちらかというとスプラッターホラーで有名なルチオ・フルチ監督であるが、わりといろんなジャンルの物を撮っていたりする。大分前に見た「ザ・リッパー」はサイコサスペンスだったしね。
ストーリーとしてはありがちなギャング同士の血で血を洗う抗争物なのだが、ルチオ・フルチが撮っているということで、殺しのシーンがえぐい。普通の映画なら銃で撃たれたら倒れるだけみたいなことも多いが、口に銃突っ込まれて脳漿は飛び散る、喉笛を撃ちぬかれて血が噴き出す、ショットガンで腹わたぶちまけるといったこだわりを随所に見せてくれる。パッケージで顔を焼かれているのは麻薬の取り引き相手の女だが、ストーリーには直接からまないわりに、執拗に顔面破壊されてしまうので、ちょっと不憫。
原題は「Luca il contrabbandiere」で単に「密輸業者ルカ」。日本では劇場公開されてないようで、いつ邦題を付けたのかは不明だが、多分同年に、松田優作主演の「野獣死すべし」が公開されているので、それにあやかったのかもしれない。ただまぁさすがにそれはないわとしか言いようがない。
終盤の展開は好きだが、もう少しストーリーに絡めた伏線を張っておけよとは思う。
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