その土曜日、7時58分
「その土曜日、7時58分」 2007
監督は、シドニー・ルメット。主演は、イーサン・ホーク、フィリップ・シーモア・ホフマン。シドニー・ルメット監督の遺作となったクライムサスペンス。
横領がバレそうになった男はやはり金に困っている弟を誘い、父の経営する宝石店を襲撃する計画を立てた。損害は保険金で賄われ、誰も困ることはないはずだった。しかし・・・。
まぁなんというか、さすがシドニー・ルメットとしか言いようがない。一つの犯罪によって崩壊してゆく家族を時系列を軽くシャッフルさせた構成で緊張感たっぷりに描いているが、この構成が絶妙である。時系列を前後しすぎるとわけわからなくなるし、ゆるくしすぎるとそもそも何の効果もなくなるところなのだが、何というか切り方がうまい。
原題は「Before the Devil Knows You’re Dead」で、英語圏で使われる「May you be in heaven half an hour before the devil knows you’re dead」(悪魔があなたの死を知る30分前に、あなたが天国にいますように)という言い回しの後半部分のみを取り出した形だ。さすがに日本ではその前提知識がないので、全く異なるタイトルにしてしまっているが、まぁ映画の内容からすればさほど悪くはない。
今一つうだつの上がらない次男のイーサン・ホークもよいが、成功者でありながら屈折した感情を抱え込んでいる長男のフィリップ・シーモア・ホフマンがとてもよい。劇中ではクスリに溺れる不動産会社のお偉いさんを演じているが、2014年に自身も薬物のために命を落としている。
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