ヤミヤミ≒ヨマイヨマイ

このブログはわたしじゅんはじめが外界からの数多の刺激の中で妄想した事柄とか内なる衝動が生み出した邪なる創造の萌芽とかそういうなんだかよくわからないものを徒然なるままに日々雑記として書きつらねていこうと画策した上に設置されたものである・・・・・・・のかもしれないぞっと(^^ゞ

浪人街

6月 5th, 2021 by PureJyam

今度は時代劇2枚。またまたDVDである。1枚は1957年と古いモノクロ作品なのでしょうがない気もするが、せめても1990年の方はブルーレイにしてくれよと。

「浪人街」 1990
そもそも「あらかじめ失われた恋人たちよ」を見たあと、桃井かおりの出ていた「赤い鳥逃げた」を見ようとしたのだが、ケーブルテレビでやっていたのを録画してあったやつが、随分前のHDDのトラブルで消えてしまっていたのだ。しかもこれはDVDにすらなっていない。で、「赤い鳥逃げた」には確か原田芳雄も出ていたっけなと思い出し、彼の主演しているこっちのDVDを買ったのだった。実のところこっちも同じHDDに録画があったので、同時に消えてしまっていたのだよね。
共演は勝新太郎、田中邦衛、樋口可南子と「あらかじめ失われた恋人たちよ」にも出ていた石橋蓮司である。原田芳雄は強いのか弱いのかよくわからない女たらしのヒモで、自分の女である樋口が旗本に囚われ牛裂きにされようとしていることを聞いても、まぁ助けなくてもいいかみたいな態度をとるようなやつだ。石橋蓮司は樋口に密かに惚れている剣の使い手。田中邦衛はどこぞの家中の侍だったがごたごたに巻き込まれやむなく浪人しているさえない男。勝新太郎は飲み屋の用心棒で夜鷹たちに字を教えたりもしているが、取り立ててもらうためには犬の真似すら辞さない卑しい性根の男だ。とにかく勝新太郎がうまい。悪党に取り入るも悪人にはなり切れず、かといって悪党に立てつくわけでもなく媚びるしょうもない男を絶妙に憎めない感じで演じている。この作品が遺作となった。
場末の飲み屋にたむろする彼ら浪人たちと、中尾彬率いる夜鷹切りを楽しむ極悪旗本との斬り合いがクライマックス。予告では120人VS4人とあったが、この大人数対少人数の戦いというシチュエーションがわたしは好きなのである。「七人の侍」とか「ワイルドバンチ」とか、そういえばこないだ見た「三匹の侍」もそうだったな。
原田芳雄はもう原田芳雄を演じているんじゃないかというくらいどこから見ても原田芳雄でしかなくて、ある意味すごい。ただ蓬髪を振り乱しながら半裸で剣を振り回す様は彼だからこそ絵になると思う。今同じ役をできる役者がいるだろうか。

「浪人街」 1957
この作品は何度もリメイクされていて、こっちは上の一つ前のリメイク。監督はマキノ雅弘。1928年の最初の「浪人街」も監督しているので、いわゆるセルフリメイクである。主演は近衛十四郎。
1990年版と一緒に買ったわけではなく、かなり前にケーブルテレビの録画を見たときに、元の作品はどんな感じなのだろうと気になって買ったもの。なので、見たのも実はかなり前。今回1990年版を見たついでにもう一度見直してみた。
こちらの方がいわゆる時代劇っぽい。まぁ作られた年代が年代だからというのもあるだろうけど。1990年版は浪人が総じて汚くてリアリティがあるが、こっちは皆きれいだ。浪人の役柄は大体同じだが、役者の雰囲気は大分異なる。近衛十四郎はいかにも女ったらしの二枚目で、原田芳雄のような得たいの知れない感はない。それはそれでよいのだが、問題はクライマックスの旗本との斬り合いだ。以前見た「眠狂四郎」よりも前なので、殺陣の音が全くないのだ。「眠狂四郎」ではあった刃と刃の当たる音すらない。もちろん血糊もないので、どう見ても楽し気に棒を振り回す男たちにしか見えない。音楽もなんだかコメディのような音楽で、緊張感も何もあったものではない。
大きく違うのはラストである。1990年版ではどっちかというとめでたしめでたしのラストだったものが、こちらは1990年版で石橋蓮司が演じた役の浪人が大勢の捕り方に囲まれて一人抵抗している場面で終わる。個人的にはこっちの方が好みなんだけどねぇ。大人数対少人数での死闘の末、結局少人数側が全滅するというのが、一番の好みだったりするわけでして・・(-_-;)

Posted in 映画

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