12月 12th, 2024 by PureJyam
「戦争のはらわた」 1977
監督サム・ペキンパー、主演ジェームズ・コバーンの戦争映画。第二次世界大戦における独ソ戦の戦闘をドイツ軍視点で描く。
ソ連軍と対峙する最前線に鉄十字勲章を得ることに強いこだわりを持つシュトランスキー大尉が着任する。彼は優秀な小隊長シュタイナー伍長と対立するが、シュタイナーは意にも介さなかった。
常に砲弾の降り注ぐ最前線が舞台ということもあり戦闘シーンは多く、かつ監督がサム・ペキンパーなので描写が容赦ない。お得意のスローモーションを駆使して敵も味方も吹き飛びまくる。
独ソ戦をソ連側から描いていた「僕の村は戦場だった」では直接的な戦闘シーンはほぼなかったのに比べて、逆にほぼ全編に渡って戦闘シーンが続くという真逆の演出となっている。
原題は「Cross of Iron」つまり鉄十字勲章である。そいつが欲しくてたまらない新任大尉にかき回される部下思いの小隊長が主人公なので、タイトルには相応しいのだが、まぁそのままでは日本では客が入りそうにはないかなぁ。戦争の生々しい醜さを描いているということで「戦争のはらわた」は悪くはない邦題ではある。
兎にも角にもジェームズ・コバーンがかっこいい。上官に媚びるわけでもなく、軍隊に忠誠を尽くすわけでもない、戦場にいてただ部下たちを守りたい優秀な小隊長という役回りがやたらと似合う。ジェームズ・コバーンと言えば「荒野の七人」での寡黙なガンマンの印象が強いが、それから17年後の今作では渋さが増してより人間味が強くなっている気がする。ラストの高笑いが何とも印象的。
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12月 10th, 2024 by PureJyam
ちょっと前に、Steamのセールをやっていたので、とりあえずなんか買っとくかと思って買ったやつ。
ほんとは「バルダーズ・ゲート3」が買いたかったのだけど、まだ高いのだよねぇ。去年のゲームだから、もうちょい安くなってくれると助かるのだが、あと3年くらい待たないとだめかね。
こないだ始めた「ドラゴンクエストⅢ」は実はまだ終わってなくて、一応ラスボスの手前までは来てるので、もうちょっとだなぁとは思ってるのだけど、まぁぼちぼちやろうかなという感じ。
で「Staffer Case」だが、推理アドベンチャーということで、かなり評価が高い。超能力者が存在する異世界のロンドンで起こる超能力者がからむ殺人事件を解決するというゲームだ。
超能力が出てくると言っても特殊な能力で事件を解決というわけでもなく、プレーヤーキャラは超能力を持ってないので、純粋にロジックによる推理で解決しなければならない。推理というか提示された証拠と証拠を組み合わせてそれが合っているか合っていないかというだけではあるのだけどね。
事件自体はそんなに複雑でないので、真相に意外性とかはなくて犯人はすぐにわかるのだけど、作り手が想定している正解に合わせないといけないので、そのためにはどの証拠を選択すべきかというかなりメタ的な読みが必要なゲームではある。
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12月 7th, 2024 by PureJyam
「待ち伏せ」 1970
監督稲垣浩。主演三船敏郎。他に勝新太郎、石原裕次郎、中村錦之助、浅丘ルリ子という、オールスターキャストで送る娯楽時代劇。
多額の礼金で仕事を受けた三船は何をするかもわからぬまま指示された峠に向かう。そこで待っていたものは・・
錚々たるキャストが集結しているが、壮大な大作というわけではない。最後にちょっとだけ派手な戦いがあるものの、ほとんどの時間は峠の茶屋に偶然か必然か集まった面々による丁々発止なやり取りという感じ。
シチュエーションは素晴らしく面白いのだが、豪華俳優を集めすぎたせいか逆にそれぞれの俳優の見せ場とかに囚われて、付随するエピソードが今一つなのである。
というか、そもそも俳優を全然生かしきれてない脚本なんだよね。特に石原裕次郎はメインストーリーにはほぼ絡んでなくて、取ってつけたような茶屋の娘との恋愛的エピソードを割り当てられていたりする。中村錦之助は珍しく権力を笠に着る小物の役人というどちらかというと3枚目の役で、それ自体は面白い配役だが中村錦之助にやらせることかと思わないでもない。しかも足を折っている設定なので、立ち回りの一つもないというのはどうなのか。三船敏郎はいつもの凄腕の浪人役なのだが、「用心棒」や「椿三十郎」のときのようなキレがない。唯一勝新太郎だけは、ちょっと特殊な役柄で、意外性もあって面白かったのが救い。浅丘ルリ子はヒロイン役なのだが、キャラがぶれていてよくわからん女になってしまっている。あと茶屋の娘がウザ過ぎてきつい。
まぁいろいろ難はあるものの、せめてクライマックスで男4人の派手な大立ち回りを見せてくれれば、終わり良ければ総て良しという感じだっただろうに、それすらないとなるともはや擁護しようがない。
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12月 5th, 2024 by PureJyam
「ミーン・ストリート」 1973
監督はマーティン・スコセッシ。主演はハーヴェイ・カイテルとロバート・デ・ニーロ。
喧嘩や博打に明け暮れるニューヨークのイタリア系移民の若者たちの日常を描く。
羽振りのよい金貸しの叔父の手伝いをしつつ遊び回るチャーリーは、多額の借金を抱えながらも何も考えていない子供の頃からの友人であるジョニー・ボーイを見捨てられずにいた。しかし、ジョニーはある日一線を越えてしまう。
見る前は漠然とギャング映画だと思っていたが、そういうわけでもなかった。もしかすると将来ギャングになってしまうかもしれないが、今はまだそうではない若者たちの映画で、まぁ見方によっては青春映画とも言えるかもしれない。監督のマーティン・スコセッシもイタリア系ということで、舞台も彼の育ったリトル・イタリーであり、半自伝的映画であるとも言われている。
ただまぁ何と言っても後に「タクシー・ドライバー」を生み出したマーティン・スコセッシ&ロバート・デ・ニーロコンビの初タッグ作品であることの方がより注目される点だろう。
今作でもロバート・デ・ニーロの演技は素晴らしく、そのあまりのクズさにこいつ早く殺されないかなぁと思っていた。主演のハーヴェイ・カイテルは、完全にデ・ニーロに食われてしまっていて、ある意味不憫。演技がどうこうというよりキャラとして弱いのだよね。
ハーヴェイ・カイテルは「タクシー・ドライバー」にも出演していて、そこではデ・ニーロに殺されるポン引きの役をやっているようだ。「タクシー・ドライバー」を見たのもかなり昔のことなので、あまり記憶にないのだけどね。
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12月 3rd, 2024 by PureJyam
初代のプレイステーションの発売が30年前らしい。実のところわたしはセガサターン派だったので、プレステはすぐには買わなかったのだよね。
買ったのはかなり経ってからで、「ドラゴンクエストⅦ」が出たときだったと思う。なので、プレステでやったゲームの思い出はぼぼないのだな。
で、プレイステーション2を買ったのも、「ドラゴンクエストⅧ」が出てからなのでそれもかなりあとになってからで、プレステ2の思い出もほぼない。
プレイステーション3はついこないだ買ったばかりで・・とか思っていたら2012年だったので、もう12年も前の話で驚いた。PS3についてはいろいろ思い出多いよねぇ。「デモンズソウル」とか「ダークソウル」とか「ダークソウルⅡ」とか「レッド・デッド・リデンプション」とか、ほんといろいろやった。
プレイステーション4は2015年ということで、PS3は3年しか使ってなかったのだね。そう思うと、プレイステーション5を買ったのが2021年なので、PS4を6年使ってたのはちょっとびっくり。
果たしてプレイステーション6が出たら買うのかどうなのかは、かなり迷う。けど多分買うだろうな。もちろんSwitch2は当然買う。とはいえ、Switchを買ったのが2017年で既に7年経っているにもかかわらず、ゲーム自体はあまり買ってないことを考えるとSwitch2を買って果たしてやるゲームがあるのかどうかは気になるところ。でも買うことは確かだけどね。
プレイステーション5は3年経ったが、まぁそこそこゲームはしている感じ。Switchよりはよほど使用頻度は高い。性能的にはもうこのへんでいいんじゃないかという気もするんだよね。あと3年くらいでプレイステーション6が出たところで、かなりの高額になることは予想されるわけで、果たしてそのコストに耐えられるくらいの性能を示せるのかどうか。
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11月 30th, 2024 by PureJyam
「ナチュラル・ボーン・キラーズ」 1994
監督オリバー・ストーン、主演ウディ・ハレルソン、ジュリエット・ルイスのバイオレンスアクション。元々の脚本はクエンティン・タランティーノが書いたらしいのだが、オリバー・ストーン監督による大幅な改変にブチ切れて、原案扱いになったらしい。
無差別な殺人を繰り返しながらドライブを続けるミッキーとマロニーのカップルは、マスコミに持ち上げられ一部の人間に絶大な支持を受けるものの、銃撃戦の末逮捕されてしまう。
どう見ても「俺たちに明日はない」のボニーとクライドの現代版を目指したのだろうなという気がするが、ほんとにそうなのかはわからない。
原題でもある「Natural Born Killers」は、生まれながらの殺人者ということで、作中でミッキーが自分をさして言った言葉である。
かなり凝った演出で、スクリーンプロセスを使ったドライブシーンやアニメーションを交えたシーンなど、多彩な映像表現が使用されている。ただ、それらはミッキーたちを生々しい忌避すべき殺人者というよりあくまでフィクションの登場人物として見せることになってしまっているのではとは感じる。
オリバー・ストーン監督は殺人者ですらスターに祭り上げることを厭わないマスコミへの批判を描きたかったのだろうが、この映画の主人公に影響された模倣犯を生み出してしまっているのはある意味皮肉でしかない。
過激な映画として各地で上映禁止や年齢制限が行われたらしいが、実際には映画中の過激なシーン自体はかなり少な目である。ミッキーとマロニーによる非道な殺人シーンはなぜかカットされた未公開シーンの方に多く含まれていて、特にミッキーの残虐性を示す法廷での事件をカットしているのは、監督自らミッキーのスター性を失わせたくなかったのではと勘繰りたくなる。
あとミッキーとマロニーのカップルが、途中普通のカップルみたいな痴話喧嘩を始めてしまうのには、ちょっと違和感。この二人は最初から最後まで強烈な純愛で固く結ばれていないとダメなんじゃなかろうか。
怪しげな刑務所長役で出てくるトミー・リー・ジョーンズとテレビキャスター役のロバート・ダウニー・Jrがよい。
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11月 28th, 2024 by PureJyam
「ジャンヌ・ダルク裁判」 1962
監督ロベール・ブレッソン。主演はフロランス・ドゥレ。タイトル通り、あのジャンヌ・ダルクの裁判というか教会による異端審問の様子を描いている。
ジャンヌ・ダルクの映画というと、1999年のリュック・ベッソン監督のものを思い浮かべるのだが、あっちは確か戦闘シーンもある派手な映画だった気がする。もっとも未見なので、多分当時見た予告とかの記憶でしかないのだけどね。
もちろん今作はそういう系統ではなく、捕らわれたジャンヌ・ダルクと審問官との問答の様子を淡々と描くというまさにロベールブレッソンという感じの映画である。もちろん回想で戦闘シーンが描かれるというようなこともなく、ドラマチックな盛り上がりとかそういうものとは無縁だ。また尺としてはかなり短く65分しかない。
実際の裁判記録に基づいているらしいが、ジャンヌ・ダルクはかなり知的な人間として描かれていて審問官の質問に対してはっきりと的確な返答をしているように見える。
多分史実に詳しければもっと面白く観られたのではないかとは思うが、何分にもジャンヌ・ダルクに関してはフランスにおいてイングランドと戦い、最終的に火あぶりにされたという程度の知識しかないし、キリスト教についてもよく知らないので、何がどうなると異端として認定されるのかとかいうところがよくわからないのがもどかしい。
ジャンヌ・ダルクを演じているフロランス・ドゥレは、素で理知的な雰囲気がある美人で、このあとも何作かの映画に出ているようだが、後に作家になったらしい。
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11月 26th, 2024 by PureJyam
「やさぐれ刑事」 1976
監督は渡辺祐介、出演は原田芳雄、大谷直子、高橋悦史。また原作は藤本義一である。
因縁浅からぬ暴力団幹部に妻を寝取られ奪われた刑事は、北海道から九州の果てまで列島を縦断して2人を追う。
暴力的な刑事、チンピラ臭ましましのヤクザ、すぐ寝る女等々いかにも昭和な雰囲気がぷんぷんする映画ではあるものの、原田芳雄がまさに原田芳雄でかっこいいし、大谷直子は可愛いので、それでまぁ十分なのかもしれない。
前に見た「斬る」でちょっと抜けたとこのあるいい感じのキャラを演じていた高橋悦史が、全くイメージの違うちょっとキザったらしい暴力団幹部を演じていて、さすがだなぁと感心した。
渡辺祐介監督は、黄金期は過ぎたもののまだ勢いを失っていなかった時代の邦画を担った職業監督の一人で、ザ・ドリフターズの出演したシリーズ等を手掛けている。
なので、作品としては尖った部分は特にないが、手堅くまとまっていて魅せるべきところをちゃんと見せているという感じ。
ただ原作は長編小説なので、多分かなりはしょって描かれているせいか北海道から九州へ至るまでの各所でのエピソードが説明不足でかなり駆け足気味なのが残念。
それとクライマックスはもうちょい派手にしても良かった気はする。
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11月 23rd, 2024 by PureJyam
「バッファロー’66」 1998
監督ヴィンセント・ギャロ、脚本ヴィンセント・ギャロ、音楽ヴィンセント・ギャロ、主演ヴィンセント・ギャロのラブコメ?
無謀な賭けの負け金をチャラにするため身代りに入ることになった刑務所を出所したビリーは実家に戻ることにするが、嫁を連れて行くと嘘をついてしまったため、途中で誘拐した女に嫁のふりを強要する。
主人公のビリーがまぁ子供のまま大きくなったようなやつで、わがままで怒りっぽくて傷つきやすいみたいな、あまり関わり合いになりたくない感じ。ただ実家に行っても、父も母もあまり息子には関心がなく、愛されてる様子が全然ないにもかかわらず、出所後すぐに電話して訪ねようとしたりするところは、なんか妙に優しかったりする。
誘拐された女の子は、前に見た「スリーピーホロウ」に出ていたクリスティーナ・リッチ。この二人が徐々に心を通わせて行くというラブストーリーではあるものの、ビリーの性格を見る限り、なんで無理やり連れてこられた女の子がこいつを好きになったのかがさっぱりわからないのだよね。
ビリーについは、回想も含めて描写が豊富なのだが、この女の子については全く情報が提示されないので、どうして逃げようとしないのかとかどうしてビリーの言いなりになっているかとかが全然理解できない。そういう風に立ち回る要因として女の子の生い立ちとか性格とか回りを取り巻く状況とか何か背景となるものが描写されていれば、多少なりとも納得できるのだろうが、それが全くないのだ。多分あえて描いていないのだろうけど、わたしは見ながらこの娘にまつわるとんでもないオチがあるに違いないと思って見ていた。
が、そんなことはなく、ほんとに普通のラブコメだった。
とはいえ、ビリー役のヴィンセント・ギャロが何とも魅力的なキャラを演じているしクリスティーナ・リッチも悪くなく、かつ演出もオシャレな感じで、まぁつまらなくはない。
タイトルの「バッファロー’66」は、ビリーの母が大ファンのアメフトのバッファロー・ビルズというチームが優勝した1966年という年にちなんでいる、この年はビリーが生まれた年でもある。
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11月 20th, 2024 by PureJyam
「グレートスタントマン」1978
ハル・ニーダム監督、バート・レイノルズ主演のアクション映画。以前見た「キャノンボール」や「トランザム7000」と同じコンビである。
ベテランスタントマンのフーパーは長年の無理が祟って身体に限界を感じていた。しかし若くて人気の新人への対抗心からさらに無理を重ねてしまう。
原題は「Hooper」という洋画でよくある主人公の名前パターンで、邦題はまぁそうするしかないよねという感じ。
その邦題が示す通りスタントマンマンセー映画なので、派手なスタントがこれでもかと登場する。そもそも監督のハル・ニーダムはスタントマン出身であり、その裏側も含めて熟知しているわけで、今作のような映画を作るのはお手の物だろう。
ただ、コメディタッチではあるので、スタントに失敗してケガを負うみたいな深刻な展開はない。スタントをやるかやらないかで迷うシーンはあっても、スーパースタントマンであるバート・レイノルズは、華麗にスタントを決めてしまうため、スタントマンを描いているにもかかわらずその苦労や泥臭い部分が見えてこないのは残念。
しかし、カーアクション満載のラストは見ごたえ十分で、CGなど一切ない本物のスタントをどうだとばかりに見せつけてくる。
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